COFFEE × 味覚

COFFEE × 味覚

Coffeeと味覚の関係。

 

 

Coffeeの風味は主に、生豆の品質、焙煎方法、抽出技術で決定づけられますが、それを感じ取る「味覚」自体について語られる事は意外に少ないのではないでしょうか。

今回はCoffeeと味覚の関係について、簡潔に要点だけお伝えしていきます。

 

1.味覚とは

味覚とは、舌の上にある味覚受容体細胞と、口に含んだ物質が化学的に反応するときに生成される知覚です。また、嗅覚や三叉神経(食感、温度などを知覚)とも深く関係し、味わいを生成します。当然ですが味覚には個人差があります。そして未だ未解明な部分が多い知覚でもあります。

 

2.味覚と温度の関係 

ヒトの味覚は、口に含んだ物質の温度によって知覚できる味わいが変化します。

 

3.味覚の種類と温度による感じ方の違い

 

五基本味=甘味、酸味、塩味、苦味、旨味

 

一般的にヒトが美味しいと感じられる温度は、温かいものは60℃〜70℃、冷たいものは5℃〜12℃と言われています。

甘味は体温に近い35℃前後で最も強く感じ、塩味、苦味は温度が低くなるほど強く感じられ、酸味は温度による影響はほとんどないと言われています。

- 知覚には個人差のほか、物質によっては特異な化学反応が起きるため、全てがこの値の範囲に必ずしも当てはまるものではありません。 

 

例えば、浅煎りCoffeeは少し温度が下がった方が美味しい、と言われることが多いと思いますが、これを化学的な側面から考えると概ね正しいことが分かります。

浅煎りCoffeeはその性質上、成分をしっかり抽出するために90℃〜95℃前後の高温で抽出されることが多いと思います。その為、淹れた直後は香りは立ちますが、温度が適温より高く、ヒトの味覚では充分に風味を感じとる事ができません。温度による影響がないとされる酸味がまず強く感じられるはずです。味覚が風味を感じ取れる温度まで下がることで、そのCoffeeの持つ本来の複雑な味わいがより感じられるようになるのです。

一方で冷たいCoffee、例えばコールドブリュー(水出しコーヒー)の場合は冷蔵庫で冷やし、氷を入れたカップなどに注ぎますが、 その時点では5℃以下であることが多く、やや適温より低いので風味を充分に感じ取る事ができません。直後に飲んでも充分美味しいのですが、少しだけ時間をおいた方がより複雑なフレーバーが感じられる事と思います。

-苦味は温度が低くなればなるほど感じ取りやすいのですが、コールドブリューの場合は抽出温度が低いため、そもそも苦味成分が抽出され難いのでまろやかな味わいになります。

 

4.スペシャルティコーヒーを飲む際の適温

 

結論としては、温かいCoffeeは少し温度が下がった時、冷たいCoffeeは僅かに温度が上がった時が最も風味を感じやすい という事になります。

- 温かいCoffeeは淹れた直後から少しずつ香味成分の揮発、化学変化(酸化など)が始まり、適温の範囲を外れる程度に時間が経つとネガティブな成分に置き換わっていきます。適温の範囲内で飲み切るようにしてください。

 

簡単にまとめましたが、味覚については未だに解明できていない部分が多く、他の知覚との関係性などを考えると情報量が膨大、複雑で、一概に語ることは難しいのですが、今回は一般論として簡潔にCoffeeの味わいと味覚の関係に絞ってお伝えしました。

 

風味特性に優れるスペシャルティコーヒーを、最大限楽しむために少しでも役立てていただければ幸いです。

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