変数を楽しむ。

変数を楽しむ。

スペシャルティコーヒー × 変数

 

変数を考える

 

例えば、抽出においては、抽出器具、使用する水、湯温、豆、粉量、挽き目等々が変数と言えます。要すれば、コーヒーに関する各プロセスに於ける様々な個別の選択や差異等を変数と言います。

この変数を減らし、可能な限り固定化し、「ブレ」を少なくする事で再現性を高める事ができます。

一方で、仮に変数を極限まで減らせたとしても、毎回同じコーヒーになるかというと、そうとも言えません。なぜならばコーヒーの変数には、コントロールできない不確定要素が多すぎるためです。

 

コントロールできない変数とは

 

例えば、焙煎豆は香味が経時変化します。これは人がコントロールできる変数ではありません。

焙煎に関しても、データロガーを用い、プロファイル通りに機械的に仕上げたとしても、気温や湿度、気圧の影響等によって熱の伝わり方が変わったり、排気の流量が異なったり等々の差異が生じます。そのため同じ結果が得られるとは限りません。

極端な話、個人の味覚も人それぞれ異なる上に、その日の体調によって感覚、感じ方も変わります。これもコントロールできない変数です。

このような変数の例は、挙げればきりがありません。つまり以上の理由から、いくら変数を減らしたとしても、毎回全く同じ味わいのコーヒーを淹れることは、そもそも不可能なのです。

 

変数を楽しむ

 

意図せずいつもと異なる抽出になってしまったとしても、何かが変わった結果、前回淹れた時とは異なる味わいを感じる事でしょう。それがあなたの味覚に合い、より良いと感じる事ができたのであれば、あなたにとって変数はポジティブな結果をもたらした事になります。

私たちロースター、バリスタはお客様に毎回最高のコーヒーをご提供するため、できうる限り変数を減らし、再現性を高めることに注力しますが、個人でコーヒーを楽しむ事においては、必ずしもそれをする必要性はありません。

 

THE WORD COFFEEが公開しているレシピも、極力変数を減らしたシンプルな抽出を追求していますが、上述した変数を加味した上で、最終的な風味の調整はご自身にお任せする構成になっています。

 

 

自分自身、自宅でコーヒー淹れる時、色々な抽出方法を試してみたり、エイジング後の変化を比較したり、カップを変えてみたり、様々に変数を楽しんでいる事に気づきます。そしてそこから新たな発見や気づきが生まれることも多々あります。

 

変数をネガティブに捉えず、その時、その瞬間にしか味わえないコーヒーを楽しむ。それもスペシャルティコーヒーのひとつの楽しみ方ではないでしょうか。

 

 

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